みなさん、こんにちは!

今回は世紀の天才ベーシスト、ジャコ・パストリアス特集の第5弾です。

今回の記事では、Weather Reportの”Night Passage”発表以降の’81~’83年までの活動を追っていきます。

ファンにとっては待望のソロアルバム2作目も発表されます。

そしてWeather Report脱退の真相にも迫ってみたいと思います。

それでは、行ってみましょう!

Word Of Mouth.Jaco Pastorius.(’81 Release.)

’81年にジャコはワーナー・ブラザーズとソロ契約して、今回の2ndソロアルバム”Word Of Mouth”のレコーディング、制作に入ります。

2ndは’81年内に発売。

これは重要なことなのであえてここに書くけど、Weather Reportはコロンビア・レコードと契約しています。

当然、Weatherの公式作品は全てコロンビアからのリリースです。

“Word Of Mouth”はプロデュースはジャコパス自身。

レコーディング・エンジニアとして”Night Passage”を担当したブライアン・リズナー。マスタリングはA&Mレコードのベテラン、バーニー・グランドマン。

使用したレコーディング・スタジオは7箇所にもおよび、中にはPOWER STATIONの名前もあります。

ジャコパスの気合の入り方が伺えます。また、プレイヤー一人ひとりの演奏よりもアルバム全体の完成度が重視されているのもわかります。

このアルバムサウンドの作品としての完成度を重視する姿勢はWeatherのリーダー、ジョー・ザビヌルと同じですが、完成されたサウンドの方向性、志向はかなり違うというのも面白い。

アルバム収録曲

1.Crisis.

ジャコのひくほどのベース超絶速弾きが聴けます。

実際のレコーデイングはこの速弾きベースを最初に録音し、この音を聞きながらその他のレコーディングメンバーが自分の楽器を音に合わせて演奏するという手法。

Free JAZZ的な手法でいきなりアルバムの幕開けです。

この曲でアルバム1曲目とは、リスナーの歓迎の仕方がすごい。

2.3 Views Of A Secret.

Weather Reportの”Night Passage”に収録された自作曲をあえてこのアルバムにも収録。

Weatherの方はザビヌルのシンセでの主旋律演奏だったけど、こちらはフルーオーケストラを導入し、大胆に生楽器メインでアレンジ。

インスト曲なのに、まるでストーリーがあるかのようなドラマチックな展開を見せる細やかなアレンジ。確かにこれは生オーケストラでないと。

またタイトルの冒頭を”Three”から”3″に少し変えています。

そしてメインはこのために迎えた、トゥーツ・シールマンズのハーモニカ。

ジャコのベースはあえて一歩引いています。

3.Liberty City.

イントロのホーンアレンジの素晴らしさが秀逸。ジャコの才能はベースプレイだけではない。

ビッグバンドジャズが相当好きなんだと思う。

またピアノでハービー・ハンコックが参加しています。

ハービーが注文通り、陽気でノリノリな楽しいアコースティック・ピアノを演奏しています。

ジャコはのちにWord Of Mouthビッグバンドを結成して、ツアーを回るけど、このときすでにソロ活動、つまりWeather脱退を考えていたかどうかは疑問です。

4.Chromatic Fantasy.

1曲目”Crisis”ほどの速弾きではないけど、長いイントロ部分のベースラインの指運びは神業としか言いようがない。

後半からフルートなどの金管楽器のアンサンブルが入ってきます。

5.Black Bird.

ビートルズの”White Album”収録の”Black Bird”(実質Paul McCartney一人の曲)のカバー。

アルペジオを多用した、多くのギタリストの練習曲として有名な曲。

原曲はアコースティック・ギターとポールのボーカルだけど、このアルバムではボーカル代わりに再び登場のトゥーツのハーモニカが入ります。

またオーケストラアレンジも入って、大胆に展開していきます。

6.Word Of Mouth.

アルバム表題曲です。

ここではベースの速弾きがまるで、ハードロックバンドのギターソロのよう。

またアルバム全体的に入っているジャコパスの咆哮というか雄叫びは、曲の一部として計算されたものなのか、それとも思わず出てしまうものなのか?

どちらもありえる。

7.John And Mary.

アルバムラストを飾るにふさわしい、優しい曲。

オーケストラアレンジは抑えめに、ソプラノサックスがメロディ担当。

そこにスティールドラムと、ジャコの子供たちジョンとメアリーの笑い声と歌声が使われています。

アルバム全体的にオーケストラは突然存在を消したり、一気に大きく出現したり、変幻自在。

この辺りは’60年代によくマイルス・デイヴィスと共演したコンポーザー、ギル・エヴァンスの影響ではないかと。

また10分以上の長尺のこの曲の後半部では、急にスティール・ドラムとバッキング・ボーカルが前面に出て、展開を見せます。

Weather Report.Weather Report ’82(’82 Release)

“Word Of Mouth”発表の翌年、’82年にWeather Reportの11枚目のアルバム”Weather Report”を発表します。

まだジャコパスが参加する前、’71年に発表されたWeatherの1stアルバムも”Weather Report”というタイトルなので、混同しないように”Weather Report’82″という呼び方をします。

実際’82年のアルバム発売当時、レコード店舗での取扱い上でトラブルがあったみたいです。

ジャコパス及びドラム担当のピーター・アースキンの、メンバーとしての最後の参加作品になります。

ただ今までのWeatherのアルバムには必ず、ジャコパス作曲のオリジナル曲が1曲はあったのに、今回はありません。

ジャコのサウンド的な自己主張も他のアルバムに比べて抑えめです。

ジャコパス脱退の理由はどこにもはっきりとは書いていません。

ジャコがソロ活動(というか、自分のバンドの活動)が忙しくなったのが理由と言われていますが、ミルコウスキー著の自伝によるとどうやら人間関係の悪化らしいのです。

なぜ人間関係が悪化したのか?

それこそ、ジャコの個人の活動が忙しくなったからとされていますが、僕は違う、もっと直接的な理由があったと見ています。

この点については、この記事の最後に詳しく述べようと思っています。

アルバム収録曲いくつか紹介

3.N.Y.C.(41st Parallel/The Dance/Crazy About JAZZ)

10:11もの長尺なのは、3つのパートからなる組曲だから。

前作”Night Passage”の路線がさらに推し進められて、より完成された作品としての楽曲という印象。

メンバーそれぞれの自由が抑え気味。

アルバム全体を通して一番目立っているのは、むしろドラムのピーター・アースキン。

6.Speechless.

この曲を選んだのは、ジャコパスのベースプレイがたっぷり聴けるから。

ただ大人しい曲なので、ベースプレイも大人しめ。

この作品を最後にジャコパス及びピーター・アースキンが脱退のため、Weather Report黄金期のラスト作品と捉えられているけど、実際のピークは前作”Night Passage”までだと思います。

これ以降、同格リーダーのはずのウェイン・ショーターもザビヌルの世界についていけなくなり、音楽シーンもフュージョンからアコースティック・ジャズへ向かっていき、集客力も減っていきます。

結局4年後の’86年にザビヌルとウェイン・ショーターも決別して、Wetherは解散してしまいます。

面白いのは脱退してWeatherの黄金期を終わらせたジャコパス本人も、ソロになってからダメになっていって、’87年に不慮の死を遂げます。

くしくもWeather Report解散の翌年でした。

Invitation.Word Of Mouth BigBand.(’83 Release.)

’82年9月にジャコパスがソロになってから結成した、”Word Of Mouth BigBand”を率いて来日し、ライブを行いました。

そのライブ音源を2枚のアルバムに納めて日本国内限定で発売されたのが”Twins1&2″

それを世界発売向けに選曲し直し、1枚のアルバムにギュッと凝縮して発売。

それがこの”Invitation”

こちらも素晴らしいアルバムです。

アルバム収録曲紹介

1.Invitation.

いきなり聴いたことない新曲で幕開け。

’70年代サスペンス映画のサントラテーマ、みたいなスリリングなメロディ。

バンドマスターのジャコパスも生き生きとベースソロを弾いてます。

あらゆる束縛から解放されて自由になったような印象。

しかしこのときすでにジャコパスは、精神的に病んでいたのです。

2.Amerika.

Traditionalとあるので、アメリカに伝わる伝統的な民謡なんだろうけど、僕は知らなかった。

ジャコパスのベースソロのみの曲。

3.Soul Intro /The Chicken.

こちらも初めて聴く曲(多分新曲)。

まさにSoul IntroなBigBandのイントロが印象的。

このようなメロディラインをもっと砕けた下世話な感じにしたのが、我が国の昭和歌謡。

続くリズミカルなジャコパスのベース速弾きは、1stソロに入っている”Come On Come Over”を思い起こさせる。

個人的にはジャコパスのソウル風の曲は好きですね。

4.Continuum.

1stソロに収録されていた個人的に好きな曲のライブバージョン。

オリジナルはベースのみだったけど、ライブだとバックにうっすらと幽幻なホーンアレンジが聴こえます。

5.Liberty City.

最新2ndソロ”Word Of Mouth”に収録されていた楽しいビッグバンド曲がライブで聴けます。

しかもキーボードはハービー・ハンコックが担当、とありますが……

ところがこのクレジットはAmnazonのCD紹介やYoutubeの曲タイトルには書いてあるけど、どういうわけかwikiには記されていません。

よってハービーがどういう経緯でこのライブに参加したのかは不明です。(多分ん参加してない。)

何度聞いてもハービーらしいキーボードが聞こえないので、作曲がハービーと共作ということだろうか?

6.Sophisticated Lady.

Sir Duke Ellington作曲のJAZZスタンダードナンバーをジャコパスが”Word Of Mouth BigBand”でライブ演奏。

“Word Of Mouth”のレコーディングにも参加していたトゥーツ・シールマンズがハーモニカでメロディを奏でます。

Sophisticated Lady.Duke Ellington and His Orchestra.

こちらは本家デューク・エリントン・バンドの演奏。

またもや古いライブ映像が残されています。

7.Reza/Giant Steps/Reza(Reprise.)

またもや聞いたことがない”Reza”という新曲の間にジョン・コルトレーンの名曲”Giant Steps”を挟んだ組曲。

と言ってもスチール・ドラムでほんの短く”Giant Steps”のフレーズが浮かび上がるようにふわっと入ってきます。

8.Fanny Mae.

短いけどイントロの一斉に鳴り出すホーンのアレンジが超絶かっこいい。

歌っているのはおそらくジャコパス。(声が完全に)

古いブルース曲のカバー。

Fannie Mae.Buster Brown.

原曲はこちら。

R&Bシンガー、バスター・ブラウンの’60年のヒット。

多くのBlues及びR&Bはもったり泥臭い。

9.Eleven.

マーチングバンドの演奏のような、ユニークな新曲。しかも短い。

かっこいいけど、なぜラストにこの曲を持ってきたのか?

まとめ。Summary.

さて問題のジャコ・パストリアスがWeather Reportを脱退した経緯ですが、wikiには全く書かれていない。(ジョー・ザビヌルのwikiも同様。)

一般にはジャコのソロ活動が忙しくなったからだと思われています。

ですが、ミルコウスキー著の自伝「ジャコ・パストリアスの肖像」に気になることが書いてありました。

引用すると長くなるので要約すると、ジャコはソロ2nd”Word Of Mouth”を制作するに際して、ワーナー・ブラザーズと契約したのですが、Weatherの所属はコロムビア、ジャコのソロ1stはエピックだったので、流石に元所属のコロムビアやエピックが激怒したというのです。

当時ジャコは人気絶頂だったから大手レコード会社からの引っ張り合いがすごかったという文になっていたのですが、僕はそういう問題でもないような気がします。

確かにワーナーからの強いスカウトはあったそうですが、流石にこれまでの所属レーベルには何かしらの打診はしておくべきというのは、どんなビジネス素人にも分かりそうなことだと思うのですが、でもジャコにはそういう常識すら通じなさそうな雰囲気はあります。

もともとジョー・ザビヌルと性格や音楽的嗜好が合わない(反りが合わない)のはわかるのですが、それで一方的にクビにするほどザビヌルは子供ではないと思うのです。

最終的にクビを決定させたのは、この音楽業界の御法度をジャコ自身が破ったというのが大きいと僕は見ています。

それにもう一度言いますがジャコは当時超売れっ子ミュージシャンだったので、クビにしても一人でやっていけるだろうという考えもあったのでは?と僕は考えます。

しかも当時はジャコの子供たちもかわいい盛り。側からは幸せ絶頂に見えたと思うのです。

今回紹介した”Word Of Mouth”のラストを飾る楽曲”John And Mary”はジャコの最初の妻トレイシーとの間に生まれた息子ジョンと娘メアリーの名前で、実際の音源の中で歌ったり笑ったりしている声も本物のジョンとメアリーの声です。

まさかジャコがWeather脱退後すぐに精神的に不安定になって身を持ち崩していくとは誰も予想しなかったのでは?

それではここまで読んでくださって、ありがとうございました!

またすぐ、お会いしましょう!

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