

みなさん、こんにちは!
僕のリスペクトするミュージシャン紹介シリーズも、今回で9回目です。
今回はJAZZ・フュージョンベーシスト”Jaco Pastorius”「ジャコ・パストリアス」さん。
このシリーズ初のJAZZ・フュージョンのご紹介です。
それでは、行ってみましょう!

簡単な略歴。A Brief Biography.


生い立ちなどの紹介は、長くなるので省略します。
とにかく本名は「ジョン・フランシス・パストリアスⅢ世」だけど子供の頃から「ジャコ」と呼ばれていたらしい。家族からも友達からも。
そのほとんどが「ジャコ」が本名だと思っていたくらい。
デビュー後、日本の一部のファンの間で「ジャコパス」と呼ばれているくらい。(何でも詰めて省略する日本人)
そしてかなりの実力がありながら不遇時代が長く、やっとデビューできたのが25~6歳の時。
これはジャコパスの伝記本を読んだ上での僕の印象です。
生い立ちについて詳しく知りたい人はwikiを参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャコ・パストリアス
もっと詳しい情報が知りたい人は伝記本を読んでください。
「ジャコ・パストリアスの肖像」ビル・ミルコウスキー著。
そして25歳の時、Wether Reportに参加。と同時に親友のパット・メセニーの1stアルバム「ブライト・サイズ・ライフ」に参加。
同じ時期にフュージョン界の象徴的バンド”Weather Report”に初参加。
アルバム”Black Market”に2曲だけ参加。
と同時にBlood Sweat & Tearsのドラマー、ボビー・コロンビーのプロデュースで1stソロアルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」”Jaco Pastorius”をリリース。
一気に運が向いてきました。
ただし一時期に様々なレコーディングに参加して知名度は上がったけど、レコード会社などを無秩序に跨いでいたのは、のちに彼のキャリアに影響が出てくる重要な点なので、頭の隅に置いておいてください。

Bright Size Life.Pat Metheny.(’76 Release)


フュージョン界の名ギタリスト、パット・メセニーのソロデビューアルバム。
ジャコパスはこのアルバムにベーシストとしてフルで参加。
パット・メセニー(g)とジャコ・パストリアス(b)。この不世出の二人の天才プレイヤーは、共に不遇時代から親交がありました。
今思うとこの二人がプロデビュー前に親交があったという事実、その上でこの二人の共演アルバムが、こうして残されているって結構すごいこと。
全編ギター、ベース、ドラムスのトリオ編成による演奏。

アルバム収録曲いくつか紹介。

1.Bright Size Life.
アルバム1曲目の表題曲。
パットとジャコパスの競わない、信頼しあってる感じのリラックスした曲。
1曲目から名演。もうこの1曲だけで十分と思える。
8.Round Trip/Broadway Blues.
もう一曲紹介しようとしたけど、捨て曲がなくてセレクトに困りました。
アルバム最後の曲です。”Broadway Blues”はフリージャズの開祖オーネット・コールマンのカバー。

Black Market.Weather Report.(’76 Release)

ウェザー・リポート6枚目のアルバム。
ジョー・ザビヌル率いるウェザー・リポートには、ジャコパスは以前から目をつけていてザビヌルには打診していました。(伝記によるとザビヌルに直接デモテープを渡してバンド参加を要請したらしい)
当時のベーシスト、アルフォンソ・ジョンソンが脱退するタイミングだったため、ジャコパスが呼ばれたということ。
インタビューなどを読むと、全体的にザビヌルはジャコパスに冷たい印象。鼻も引っかけてない感じ。
余程深刻な仲間割れ状態だったのだと思われます。
そのため2曲のみの参加。(それ以外の曲はアルフォンソ・ジョンソンがベースを担当)

アルバム収録曲いくつか紹介。

2.Cannon Ball.
ザビヌルがかつて参加していたバンドのリーダーで、アルバム制作4ヶ月前に亡くなった、キャノンボール・アダレイに捧げた曲。
6.Barbary Coast.
こちらは作曲までもが、ジャコパスによるもの。
フュージョンというよりも、ソウルっぽさが濃厚な曲。
それこそがジャコパスのスタイル。

Jaco Pastorius.1st Solo Album.(’76 Release)


そして同時期リリースのキャリア初の記念すべきソロアルバム。
日本版タイトル「ジャコ・パストリアスの肖像」
上に紹介した伝記本「ジャコ・パストリアスの肖像」ビル・ミルコウスキー著に書いてあるジャコパスとプロデュースを担当したBS&Tのボビー・コロンビーの出会いのエピソードが個人的に面白くて好きです。
コロンビーはまずジャコの妻トレイシーを西海岸で見かけナンパしたところ、彼女の夫はベーシストだという。
トレイシーは「ぜひジャコのベースを聴いて欲しい」と、コロンビーに言いました。
当時コロンビーに対して、このような売り込みはうんざりするほどあったのだろうけど、暇つぶしに笑い物にしてやろうと「生で聴いてみたい」と承諾しました。
翌日、会場でもあるクラブに来たジャコパスは、裸足で両脇にベースとバスケットボールを抱えていました。コロンビーは彼が予想通りの人物だと心で確信しました。
コロンビーは皮肉を言いました「君が世界最高のベース・プレイヤーか?会えて光栄だよ」
「ジャコはベースをアンプに繋ぎ弾き始めた。そこに座って聴いているうちに、私の目は飛び出し、髪の毛は全て逆立ってしまった。(中略)彼は本当に世界最高のベーシストだったからだ」
多少盛ってはいるだろうけど、大体こんな感じだったんだろうと思います。
この時点まで、ジャコパスが誰にも見つかっていなかったことが不思議でなりません。

アルバム収録曲紹介

1.Donna Lee.
衝撃的すぎるアルバム1曲目。音楽業界、JAZZ、フュージョン界、そして特に全ベーシストの羨望の的となりました。
全編コンガのリズムとベースのタッピングソロ。
コロンビーが「目が飛び出し、髪の毛が全て逆立った」のも誇張ではないと思わせる。
Donna Lee.Charlie Parker.
こちらはオリジナル。チャーリー・パーカーの”Donna Lee”
でも今回に限っては、比較するなんて意味ないかも?
全く別の曲です。
2.Come On,Come Over.
サザンソウルの名門STAXレーベルのスター。ソウル/R&B黒人デュオ”Sam&Dave”「サム&デイヴ」をメインボーカルに迎えてのファンキーなソウル曲。
ジャコパスももともと、ソウルバンドに所属していました。
3.Continuum.
メロディアスな良曲。個人的にはすごく好きな曲。
ジャコパスのベースによるメロディとリズムの同時展開に、エレピのキラキラがバックに聴こえるだけ。
非常にシンプルな構成でありながら、とても密度の濃い1曲として聴こえるのは、ジャコの弾くベースがリズム、メロディ、ハーモニーを一台でしかも同時に自在に展開していくからです。
エレピを使うと宇宙的なイメージが広がるけど、ジャコパスのベースによって完全に「深海」のイメージ。
4.Kuru/Speak Like A Child.
荘厳なオーケストラアレンジのイントロで始まる組曲。
ベースの早弾きが圧巻。
途中で転調になったと思うと何度か突然挟まれる(浮かび上がる)メロディは、JAZZピアニストのハービー・ハンコックの代表曲”Speak Like A Child”
ハービーはこのアルバムに、実際にピアノとして参加しています。
またハービーさんはのちにJAZZというジャンルの枠を超えて、ヒップホップのスクラッチ・ノイズを取り入れた時代先取りのヒット曲を飛ばします。
この先進的な音楽への貪欲さは、ジャコパスからの影響もあったと、僕は見ています。
5.Portrait Of Tracy.
Tracyとはもちろん、ジャコパスの当時のそして最初の妻、トレーシー・リー・セクストン。
トレーシーへの思いをメロディに託したかのような優しいメロディ。
それでいて、指で低音弦を絶えずタップする超絶技法。
とにかくベース以外の楽器は使われていません。
6.Opus Pocus.
曲のアレンジに、当時としては珍しかったスティール・ドラムを取り入れた曲。
この辺りのジャコパスのアレンジのセンスは本当に素晴らしい。
JAZZ、フュージョン、ソウル、R&Bだけに縛られず、常にアンテナを伸ばし、様々なジャンルの音楽に手を伸ばす貪欲さ。
だけどハービー・ハンコックのピアノに、ウェイン・ショーターのソプラノサックスという当時の一流プレイヤーの共演によって、重厚なJAZZとして深味がかなり増してます。
7.Okonkole Y Torompa.
1曲目Donna Leeと同じ手法で、コンガのリズムに合わせてベースを速弾きします。
そこにこの曲の場合、ピーター・ゴードンのフレンチ・ホルンの牧歌的な音色が重なって、神聖なイメージに。
8.(Used Be A)Cha-Cha.
最初から飛ばしまくるベース。負けじとインプロイビゼーションしまくるハービーのピアノ。
同様に飛ばしまくるヒューバート・ロウズのフルートとピッコロ。
プレイヤー全員がジャコパスに強く刺激されているのがよくわかる、スタンダードジャズ。
9.Forgotten Love.
邦題「忘れ去られた愛」
最後を締めるのはメロディの美しいバラード。
この曲の主役であるピアノを弾いているのはハービー・ハンコックではなく、なんとジャコパス本人。
あえて担当楽器であるベースを手放し、ピアノをプレイする挑戦的な姿勢。

まとめ。Summary.


記事の都合上最後に紹介したけど、ソロアルバム”Jaco Pastorius”は時系列的には、”Black Market”より前のリリース。
衝撃的なソロアルバム発表後、当時最も最先端のフュージョン・バンドWeather Reportに加入。
続く”Heavy Weather”では早くもリーダー、プロデューサーであるジョー・ザビヌルの補佐的な「コ・プロデューサー」のクレジットを獲得するほどの音楽的センスです。
実際Weather Reportというグループに対して、プロデュース、サウンドクリエイティヴ面で相当な貢献をしたことは事実です。
またそこから実質的にもWeather Reportをサウンド的にもカリスマ人気的にも引っ張って行き、バンド全体までもが世間の注目度を高めていきます。
実際才能も実力もあったからこそその後の没落人生が、目も当てられないほどに気の毒だし、もったいない。
典型的な破滅型の性格です。

またジャコパスの愛用するベースはフェンダーのジャズ・ベースをフレットレスに改造したもの。
フレットレス・ベースと呼ばれます。
まあ世界の民族楽器のうち弦楽器の中でも、普通のギターやベースのようにフレットがある方が珍しいとも。(詭弁か?)


それではここまで読んでくださって、ありがとうございました!
またすぐ、お会いしましょう!

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