ついに始まったディヴィッド・ボウイさんの個人的アルバムレビュー。

ボウイさんはキャリアも長いし傑作と呼べる作品も多数存在します。

彼のキャリアの中で、特に重要なのは70年代と80年代、そして若干の90年代です。

それでも、あボウイさんの場合はどの作品も一定のクオリティを保っています。

そこで、この年代の中での彼のキャリアを三つの時期に分けてその中での重要なアルバムを紹介し、解説したいと思います。

今回はボウイさんのデビュー1967年から1972年までの初期の時期をご紹介します。

それでは、行ってみよう!

Ziggy Stardust時代。1967〜1972。

ボウイさんのデビューは1967年ですが、すぐ売れたわけではなく不遇の時期が続きました。

やっと売れたのが1972年だったのです。おそらく、レコード会社も売り出しにそれほど力を入れていなかったと思います。そんな中で彼は独自に音楽と俳優という二つのスキルを磨き、ほぼセルフプロデュースに近い形で様々なスタイルを模索しました。

そんな下積みが彼に異色の個性を形作らせたと推測しています。

David Bowie (1967)

ひっそりと発売されたボウイさんの記念すべきデビューアルバムです。

インディーズに近いデラム・レーベルからの発売です。このレーベルからは本当にこの一枚のみです。そういう意味でも特殊な存在のアルバムです。

実を言うと、僕自身はそれほど深く聞き込んでいないので、このアルバムに対して特別な思い入れはありません。

ボウイさんは当時フォークおよびロック界のカリスマ的地位を確立していたBob Dylanさんに深く傾倒していたそうで、たしかにフォークロック的な音作りです。しかし、ボウイさん独特の個性はまだ確立されていません。

きっとしっかり聞き込めば、のちに開花する個性の芽のようなものは見られるのかもしれません。

またこのアルバムはRCAの版権を所有していないため80年代のRCA作品廃盤時代にもCDショップにて購入できました。しかし、輸入盤しかなかった記憶があります。

Space Oddity (1969)

前作のデラムからなぜかフィリップスというレーベルに移籍して発売されたアルバムです。移籍にどういった経緯があったのかはわかりません。また、このアルバムから後の作品は、のちに移籍するRCAが版権を管理していたようですが、なぜかファーストアルバムだけは、除外されています。当時のボウイさんのレーベルが定まらない微妙な立ち位置はなんなのでしょうか?

アルバム発売時はまたしてもDavid Bowieというタイトルでしたが、この後発売されたシングルSpace Oddityがヒットしたので、急遽アルバムの1曲目に収録してSpace Oddityというタイトルで再発されました。

サウンド的には前作と同じフォークロック調ですが、ボウイさん初のヒット曲Space Oddityが収録されていることで、歴史的に意味が深いアルバムになっています。また、僕などはボウイさんの実質上のデビュー曲だと勝手に捉えています。

Space Oddityは、当時大ヒットした、スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」(2001:A Space Odessay)にインスパイアされて作られました。また、当時はアメリカ政府主導のアポロ11号の月面着陸計画が世界中の注目を集めていたので、流行りに便乗しようという計画的な意図も見られるような気がします。誰よりもハングリーにヒット曲を欲しがっていたのでしょう。

曲のアアレンジにもムーグシンセサイザーを大きく取り入れているのが特徴です。宇宙のイメージから連想される近未来のイメージとしてシンセサイザーを取り入れたのでしょうが、時代が時代のため、今聞くと逆に古く感じてしまいます。でも、この曲の持つ幻想的なイメージには合ってるかも?

また、この曲からボウイさんの宇宙コンセプトが始まった、記念すべき曲でもあります。

この曲にはPVも製作されています。レコーディングスタジオのサブが撮影場所で、照明を落とし、スポットを浴び化粧をしたボウイさんがギターを弾きながら歌っているだけのPVですが、チープな感じがしないのは、この頃から完成されていた、ボウイさんの得意な個性と存在感のおかげだと思います。

しかし、レコード会社がお金をかけてくれない中で、様々な売れるためのセルフプロデュースの中でハンドメイドに近い形でも、この時代にPVを撮影しようなんて発想を持っていたのは、さすがとしか言えません。

The Man Who Sold The World「世界を売った男」(1971)

またしてもなぜか、マーキュリーというレーベルに移籍して発表されたアルバムです。

のちに紹介するZiggy Stardustがコンセプトアルバムの傑作とされていますが、こちらのアルバムの方がコンセプトアルバムとしてのクォリティは高いと思います。しかし、厳密にいうと、僕なんかはどちらのアルバムもコンセプトアルバムと言うのとは少し違うと思っています。

いきなり1曲目から8分を超える長尺の実験的な曲で始まり、もはやこれまでのフォークロックスタイルに対する未練はないみたいです。

しかし、このアルバムにはヒット曲が存在しないため、あまり評価されていないみたいです。内容の完成度は高いので、ロック好き、音楽好きからは熱狂的な支持を集めています。

表題曲はのちにニルヴァーナがカバーしたので、今の若いリスナーは知っているかも?しかし、ニルヴァーナのカート・コバーンのお気に入りとか、本当にマニアックな支持を集めているんですね。

また、アルバムジャケットは女装したボウイさんですが、モラルに反するとでも判断されたのか、すぐ、違うジャケットに差し替えられたという曰く付きです。

RYKOさんからのCD再発の時に、この幻の女装ジャケットが復刻されました。

Hunky Dory(1971)

これから長きにわたってお世話になるRCAに移籍してから、最初に発表されたアルバムです。

まず、ジャケットデザインの美しさが目を引きますよね。アンディ・ウォホールのポップアート作品のようです。

前作で、フォークロックからの脱却を試みて、やや実験的になってしまったが、やっと自らの個性を打ち出せるようなサウンドをポップでキャッチーな聴きやすい形で表現できるようになったといったところですね?

1曲目のChangesがいきなり前作にはなかったヒット曲で、アルバム全体を象徴するようなイントロダクションになっています。初のアメリカチャートインした曲でもあります。僕もこの曲が好きです。

続いて2曲目Oh! You Pretty Thingsは、ピーター・ヌーンというミュージシャンのために書かれたそうで、これもキャッチーでピアノが軽快ないい曲です。

そして3曲目は根強いファンが多い名曲Life On Mars?です。バラード調のメロディーに劇的な展開の歌唱法。それをさらに、プロデューサーのケン・スコットによると思われるストリングスがよりドラマチックに演出します。

この曲には素晴らしいPVも製作されていて、曲の良さと見事な相乗効果を生み出しています。

当時流行のT.Rex的なグラムロックサウンドを意識した感じ、それと同時に、アメリカ市場を意識していて、ボウイさんの念願だった大ヒット作と、世界的なロックスターへの足がかりを作りました。

それでいて、当時は当然アナログレコードだったのですが、そのA面、B面のラストを飾る、QuicksandとThe Bewlay Brothersで急にデビュー時の頃のようなフォーク調の曲が配置されていますが、この2曲ともに神曲なくらいの出来栄えで、見事にアルバム全体を同じような曲になってしまうのを避け、深みを与えています。

これで、完全に勝機は掴みました。

The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars(1972)

長ったらしいタイトルですが、これがロック史に残る名盤とされる「ジギー・スターダスト」の正式なタイトルです。

このアルバムがなぜ歴史的な名盤なのか?それはアルバムの出来栄えのみでは判断できません。

このアルバムのヒットと同時に世間に起こしたムーブメントや影響力というものを考慮する必要があります。この時代をリアルタイムで経験していないリスナーは、当時の資料や画像、映像を自ら調べて、どういう現象だったのかを想像するしかないのです。僕自身も経験していないので、少しでもこの時代の空気感のようなものを感じたいと思い、たくさん調べました。

でも、そんな小難しい話は抜きにして、純粋に一枚のアルバムの完成度としてはどうか?

サウンド的には前作Hunky Doryの延長上です。これをより進化したとみる人もいますが、僕は前作で既に完成されていたと思います。ただ、全く同じではありません。前作よりもロックっぽさ、つまりバンド的な音作りです。おそらく、このアルバムを引っさげて行われるワールドツアーを視野に入れた音作りなんだと思います。

この時のツアーでは、毎回のステージで新しい衣装が用意されたと聞きます。ちなみに衣装デザインは、日本人デザイナーの山本寛斎さんです。寛斎さんのデザインが奇抜なのは最初からなのか、それともこの時の経験がもとになっているのでしょうか?

お気に入りのカメラマンは鋤田正義さん。のちにYMOの坂本龍一さんとも交流しているし、映画監督の大島渚監督の映画にも出演しているし、割と親日家なんです。ボウイさんの親日家ぶりについてもいつか記事を書こうと思っています。

ちなみにこの時のツアーで初来日しています。

話が逸れましたが、音作りはロックバンド的なサウンドですが、メロディ自体は前作同様、どれも耳馴染みが良く、キャッチ−な曲が揃っています。

代表曲は何と言っても4曲目のStarmanです。キャッチーなメロディだけでなく、ギターフレーズも印象的。ギター担当はMick Ronsonさん。彼はただのバンドメンバーではなく、当時のボウイさんの片腕的存在で、ともに一時代のサウンドを築き上げた功績があります。

ちなみに奇抜な衣装やメイクをするのはボウイさんだけでなく、バックバンドも奇抜な衣装を着てメイクします。バンドの名前もThe Spiders From Marsという宇宙人コンセプトで貫かれている徹底ぶり。

こんなことをしたミュージシャンは今までいなかった。俳優として舞台などに立った経験のあるボウイさんだからこそのアイデアでした。

ちなみに3曲目のMoon Age Day Dreamという曲の間奏に突如入るリコーダーのような楽器のフレーズはのちにThe Eaglesのヒット曲Hotel Californiaのギターフレーズに使われるので、聴いたことがあるかもしれません。(あえて、イーグルスがパクったとは言いません)

個人的にはアルバム終盤を締めくくる2曲、Suffragette Cityで大盛り上がりを見せ、感動的なバラードRock ‘N’ Roll Suicide「ロックンロールの自殺者」でエンディングを迎えるという流れが好きです。

ロックンロールの自殺者はライブバージョンで是非聞いていただきたい。とてもドラマチックに盛り上がる曲なので、これを聞いてしまうとアルバムのスタジオバージョンがあっさりして物足りなく感じます。

まとめ。Summary.

というわけで、僕の好きなアルバムをピックアップして紹介、解説するつもりが、全部のアルバムを紹介してしまいました。しかも、かなり熱く語ってしまいましたね。

今後もこの調子で行こうと思っています。ボウイさんに興味があって、何から聴けば良いか迷っている人のアルバム選びの基準や参考になれば幸いです。

それではここまで読んでくださって、ありがとうございました!

またすぐ、お会いしましょう!

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