みなさんこんにちは。今回は、ディヴィッド・ボウイさんのオススメアルバムレビュー第2弾です。

前回は彼のデビューから初期の代表作ジギー・スターダストまでを振り返ったので、その続きからご紹介します。年代的には1973年~1976年までとなります。

それでは、行ってみましょう!

Aladdin Sane(1973)

このジャケ写があまりにも有名なアラジン・セインです。

日本の家電メーカー、パナソニックの炊飯器のカミナリマークにインスピレーションを受けたのだとか。僕は生粋の日本人ですが、パナソニックの炊飯器にカミナリマークがあったことを知りませんでした。

アルバムの内容、サウンド的には前作の路線を引き継いだような作りです。相変わらずライブでやるとノリが良くなりそうな曲が多いですね。

個人的には3曲目の名バラードDrive In Saturdayが好きです。次のPanic In Detroitはアレンジがストーンズの「悪魔を憐れむ歌」っぽい。その次のCracked Actorはギターがファンクっぽくて、のちのYoung AmericansやStation To Stationに収録されていてもおかしくないと思う。

7曲目のThe Prettiest Starは初期の頃の曲みたいで、この曲もいいね。8曲目のThe Jean GenieはPVも製作されているよく知られたヒット曲。勝手な深読みだけど、Jeanという言葉が80年代のヒット曲Blue Jeanを思い起こさせます。

こうして振り返ると、このアルバムは好きな曲が多いね。

Pinups(1973)

ボウイさんのキャリアの中で唯一のカバー集アルバムです。自分の好きな曲を集めて自分の好きなようにアレンジしてレコーディングするわけだけど、サウンド的にはオリジナルを尊重した感じでオリジナル性は抑えめです。

でも、音楽素人にもはっきりとわかるのはヴォーカル面ではどうしても歌う人の個性が出てしまいます。日本人が大好きなカラオケがまさにそうですね。

ジギー・スターダストで大成功したにも関わらず、その路線を続けていくことが苦痛だったらしく、この時期にはドラッグにも手を出してしまったほどなので、相当悩んでいたのでしょう。そういう背景もあって、気分転換的にレコーディングされたのかも?

それとも、単純にスケジュールが多忙すぎて新曲を書き溜める余裕すらなかったのか?

以後顕著になる、「常に変化する」ということは、後世の僕から見れば何を躊躇する必要があるのか?と思ってしまうけど、ジギー・スターダスト路線を捨ててしまっていいのか?という悩みは予想以上に大きかったと思われるのです。

当然ながらお手本のようなロックンロール曲が多くセレクトされています。しかし、僕が好きなのは、8曲目のSorrowです。マージーズというバンドがオリジナルだそうですが、このCDを初めて聴いた当時も今も、オリジナルを聴いたことがありません。

なので、この曲は僕の中でボウイさんの自作曲だと思っています。とにかくボーカルと曲調がハマってます。ここに収録された曲はライブでもプレイされることがほとんどないそうで、ボウイさん本人もあまり思い入れがないのかも?

アルバムジャケットでボウイさんのとなりにいる女性は、当時人気絶頂だったモデル、ツイッギーさんです。

Diamond Dogs(1974)

「ダイアモンドの犬」と題された本作は、片腕のミック・ロンソンおよびバックバンドを総入れ替えしてプロデュースおよび基本演奏も自分で行なっています。要するに全て他人任せにせず、自分で自由にアルバムが作りたかったようです。

9曲目のタイトル1984が象徴しているように、ジョージ・オーウェル原作の「1984年」という小説に触発された内容です。

関係ない話だけど、のちにAppleが初代Macintoshを発表した際に映画監督リドリー・スコットに依頼して製作したTVCMもこの「1984年」を基本モチーフにしています。

雰囲気たっぷりの映画のサントラ的な音をバックにボウイさんのナレーションで冒頭が始まり「これはロックンロールじゃない!これは大量殺戮だ!」というアジテーションで本編Diamond Dogsへとなだれ込む冒頭部分が大好きですね。

でもこれも厳密にいうと、コンセプトに縛られたコンセプトアルバムというわけではありません。

このアルバム制作中に対談した作家のウィリアム・バロウズに触発されてカットアップという手法も取り入れていますが基本的に小難しくて意味不明な世界観になってしまっています。

ボウイさんは面白いと思ったものをすぐ、簡単に取り入れるし、スタイルを変えたり一つのスタイルや思想にとらわれることがあまりないみたいです。そういう生き方、考え方は僕も20代の若い頃からものすごく憧れていました。

9曲目1984などはRCA時代を彩るプロヂューサーToni Viscontiの力を借りてかっこいいアレンジに仕上がっています。6曲目のRebel Rebelはヒットしました。全体的にかっこいい曲が揃っている印象です。

またRYKOからCDとして再発された時に収録されたボーナストラックに1984/DODOという曲があり、こちらも本編収録曲とはガラッと印象が違います。またボーナストラックに入っているCandidateは本編にも同じタイトルの曲が収録されているけど、全く違う曲です。そして、ボーナストラックのバージョンの方が断然好きです。

David Live(1974)

ボウイさんが公式にリリースした初のライブアルバムです。ちょっとジャケ写の痩せこけた感じのボウイさん同様イマイチ残念というか、コンディション万全でない印象です。

なぜこのような中途半端なライブアルバムが発表されたのか?

勝手な憶測ですが、ここに収録されているライブは「ダイアモンド・ドッグス・ツアー」のもので、このツアーは演奏だけでなくボウイさんの演出アイデアとお金がふんだんに盛り込まれた大規模なツアーだったそうです。だとしたら是非、ライブ映像も見てみたいけど、そんな鳴り物入りのツアーだったからこそ、ライブアルバムが発表されることになったのかな?と思います。

ただ、のちに発表されるライブアルバムStageが素晴らしすぎて低評価されている部分もあると思います。

あまり言われることが少なくて不思議なのですが、ボウイさんはボーカルも素晴らしいです。天性の歌ウマです。エルヴィス・プレスリーに匹敵すると言ったら褒めすぎかもしれないけど、フランク・シナトラが自分の伝記映画を作るとしたら私の役をできるシンガーはデイヴィッド・ボウイしかいないと言ったそうですが、この発言はボウイさんの歌唱力を大いに評価してのものだと思います。

それと、ジギー・スターダストのラストを飾る「ロックンロールの自殺者」は是非ライブで聴いていただきたいと書きましたが、このアルバムでもラストを飾る同曲の圧巻のパフォーマンスこそ聴いていただきたいですね。

Young Americans(1975)

本作からいきなりアメリカ黒人ソウル音楽へと本格的に取り組み始めます。

ボウイさんの特徴の一つである、キャッチーでメロディアスな作曲能力はソウルと相性がいいいとつくづく思います。そして、ボウイさんの作曲アレンジの特徴である、曲のドラマチックな展開の仕方も黒人コーラスとのかけあいをうまく取り入れて相性がいい。

そして何よりもDavid Liveのレビューでも書いた通り、ボーカル面の素晴らしさがソウルを歌わせると最大限に生きてきますね。

固定されたイメージには縛られたくないし、前回の宇宙人コンセプトが一般に広まりすぎたことで悩んでいたし、アメリカへの本格的な進出も視野に入れていた。そうした複合的な理由でこうしたスタイルへの変化になったんだと思う。

もちろん根っからの黒人音楽好きなのはわかるけど。

レコーディングはアメリカのフィラデルフィアのシグマ・サウンド・スタジオ。ここから発信されたフィリーソウルは当時のソウルミュージックの流行であり、最先端トレンドです。

この時期、ボウイさんはアメリカのテレビ番組のインタビューで、アメリカのテレビなどのメディアでの黒人音楽および黒人の登場のあからさまな少なさを批判しています。

またマイケル・ジャクソンなど、この時点での黒人シンガーのパフォーマンスの素晴らしさを早くも評価しています。

当時は人種差別もこれくらいのレベルであからさまに行われていました。この発言がどれくらい影響したのかはわからないけど、この後から次第にビルボードチャートなどに黒人音楽が進出し始めます。

また、「ブルー・アイド・ソウル」なんて呼ばれる人たちが80年代に多数活躍しますが、ボウイさんはその先駆けですね。本人は「プラスティック・ソウル」なんて自虐的な呼び方をしています。

またRYKOからの再発CDのボーナストラックにはファンの間で名曲・神曲の呼び声が高いWho Can I Be Now?が収録されていて、この曲を聴くためだけにもぜひCDを購入していただきたい。この名曲をお蔵入りするなんて不思議としか言いようがないですね。

おそらくジョン・レノンとの共作で話題となり、初の全米No.1になったラストのFameと、ジョン作曲のビートルズカバー曲Across The Universeを組み込むために除外されたんだろうけど、それにしてもなぜこの曲を外すのか?

このアルバムから参加する黒人ギタリスト、カルロス・アロマーさんは、ミック・ロンソンに代わる新しいボウイさんの片腕となり、ボウイさん全盛期の音作りに大いに貢献します。

Station To Station(1976)

ボウイさんのキャリアの中で燦然と輝く傑作群がこのあと続々とリリースされることになります。この作品はその第一弾として勝手にとえらえています。

アルバムのアートワークは、ボウイさんがこの時期に出演した初主演映画「地球に落ちてきた男」より。監督ニコラス・ローグ。

収録曲はたったの6曲。その一つ一つが長尺で1曲目のタイトル曲Station To Stationなどは10分を超えています。大変ドラマティックな展開を見せる力作です。この曲も「ロックンロールの自殺者」のようにライブバージョンもぜひ聴いてほしい。

2曲目のGolden Yearsはすごく好きな曲です。これほどファンクよりな楽曲はボウイさんにとっても初挑戦だったろうけど、ジェームス・ブラウンやSly and The Family Stone、などの本格黒人ミュージシャンがやるような汗や体臭が感じられるような土臭さ泥臭さといった要素が少なく、ボウイさんらしくあくまでスタイリッシュです。

ここら辺の音作りはギタリストの貢献が大きいですね。このアルバムでは、ソウルやファンクの特徴であるホーンやストリングスを少なめにして、あえてギターを全面に出している感じです。

このころにアメリカの黒人向け音楽番組Soul Trainに白人ミュージシャンとして初めて出演しています。

このようにこの作品は映像作品との関わりが非常に多くあります。「地球に落ちてきた男」、「Soul Train」、そして81年になって公開された映画「クリスチーネ・F」

「クリスチーネ・F」はドイツ・ベルリン(当時は西ベルリン)が舞台で、主人公の14歳の少女の麻薬体験を描いたもの。その主人公クリスチーネが憧れのボウイさんのライブを見に行くシーンがあり、そのシーンで演奏されるのがこのStation To Stationです。当然、ボウイさん本人の出演です。ちょうどライブアルバムStageの頃のライブの模様が見られます。その中でも圧巻だと思うのがこの曲のパフォーマンスです。主人公のクリスチーネの目線で見れば、画面に映るボウイさんは神か、悪魔か?といった雰囲気です。この迫力のライブは映画館で見ればもっと凄いんだろうな。映画「クリスチーネ・F」は監督ウルリッヒ・エデル。

そして4曲目のTVC15は「地球に落ちてきた男」のテーマ曲として作られたけど、採用されなかったらしい。いい曲なのに。

このように散々ファンクへの傾倒を見せておいて、アルバムの最後を飾るのは、50年代の白黒映画の主題歌Wild Is The Windというジャズの曲。でも、これも黒人音楽だしね。ファンクじゃないけど。でも曲自体は名曲だし、ボウイさんの歌唱力も堪能できます。

まとめ。Summary.

この時期はよく言われるボウイさんの「ソウル時代」です。ソウル・ファンクといえば明るい色彩豊かなイメージだけど、ボウイさんはあえてモノクロを基調としたイメージ(というかコンセプト)で挑戦しました。

このようにボウイさんは、ビジュアルに対するこだわりも半端ない。

この時期から多くの映像作品に出演依頼があり、自ら意欲的に飛び込む場合もありました。

また、Station To Stationから、キャリアの黄金期に入りますが、次作からはまたスタイルをガラッと変えてしまいます。どんな風に変わるかは、次回の記事をお楽しみに。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!

またすぐ、お会いしましょう!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう