
みなさん、こんにちは!
今回は久々にミュージシャン紹介シリーズです。
以前書いてそのままになっていた「ブラー」”blur.”の紹介記事。
今回は彼らの2ndアルバム、「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」”Modern Life is Rubbish.”をご紹介します。
割と順調に見えた1stアルバムからこのアルバムリリースまでの間に結構な苦節を味わっています。
1stの英国での一応の成功やその他紆余曲折あって、’92年4~5月にかけてblurはアメリカツアーを敢行しますが、アメリカの観客たちの受けは悪く、ほぼ休みなしのスケジュールも重なってコンディションも悪く、さらにステージのパフォーマンスは悪くなり、酒に溺れる、と最悪の体験でした。
そのころに「ポップシーン」”Popscene.”というシングルをリリースしますが、結果は全英32位とふるわず。
Popscene.
セールスは悪かったけど、曲自体はすごくかっこいい。
パンキッシュな曲でブラスセクションが攻撃的。
僕も好きな曲だし、メンバーもお気に入りらしいです。
当時’92年ごろのアメリカはニルヴァーナなどのグランジブーム真っ只中でした。
受けない中でのアメリカツアーの強行スケジュールは、特にボーカルのデーモン・アルバーン君をアメリカ嫌いにして、そこからイギリスらしさへと向かっていくのです。
その中で発表されたのが、2ndアルバムなのです。
2nd Album”Modern Life is Rubbish.”’93年リリース。

とにかく当時は世界的にグランジブームが凄かったので、レコード会社からもグランジっぽいサウンドを求められたそうですが、デーモン君は逆にレコード会社を説得して、この英国的なサウンドを前面に押し出したアルバムの発表になりました。
ここからいわゆる「ブリット・ポップ」がじわじわ流行していきます。
Amazonレビューでも、blur入門編としてこのアルバムをあげる人が多いですね。
確かに良いかもしれないけど、彼らの音楽が「ブリット・ポップ」としてイメージ固定されてしまうのはもったいない気もします。
とにかくこの次のアルバムとライバルであるOasisの世界的ヒットでブリットポップの2大巨頭と位置づけされていますね。
要するにこの頃にBlurやOasisに熱狂したファンが大勢いるということです。それくらい当時のブリット・ポップブームは凄かった。
でも、Blurのファンは割とバンドのサウンドの変化は柔軟に受け入れているような印象です。
また、その時代時代で音楽スタイルを変えながら、新規のファンをうまく獲得しています。
これはOasisには真似できていないようですね。
アルバム収録曲。
1.For Tomorrow.
僕も好きな曲だし、ファンからも人気の高い曲。
だけどアルバム1曲目としては地味な感じ。一言で言うと「退廃的」
僕はイギリスに行ったことがないので、イギリスのイメージがまさに「退廃的」です。
2.Advert.
’80年代ブリティッシュパンクっぽい曲。
デーモンくんの歌い方がThe Jam.の頃のポール・ウェラーさんを意識してるのかな?
3.Colin zeal.
この頃のメンバーで一番地味だけど、ギターのグレアム・コクソンくんのギターが特徴的。
デビューアルバムなんて、完全にグレアムくんに救われてました。
ヴィジュアル的には地味なメンバーだけど、バンドの音楽的にはデーモンくんと同じくらい重要人物です。
4.Pressure on Julian.
凝ってはいないけど、ファンが作ったヴィデオがありました。
Julianとはジュリアン・コープさんのこと。
有名なミュージシャンだけど、日本の戦後のロックを紹介した”JAPROCKSAMPLER.”の著者として有名な人です。
5.Star Shaped.
この曲もいいですね。
のちに音楽シーンがD.J.に席巻されたりデジタル化したりEDMが出てきたりしても、彼らはバンドの生演奏とコーラスのアンサンブルにこだわり続けます。
6.Blue Jeans.
かつて’60年代に最もイギリスらしいサウンドで活動したThe KINKS.
その影響を彼らはいい意味で受け継いでいます。
7.Chemical World.
この曲もシングル曲です。
1曲目”For Tomorrow.”の系譜だけど、こちらは都会の「退廃的」とは違う、田舎の「健やかさ」があります。
それでいてよく見るとすごく「病んでいる」
8.Sunday Sunday.
こちらもシングル曲。
“Chemical World”と同じ「田舎の健やかさ」だけど、どこか病んでいる。
この曲などは途中でテンポが急激にアップするけど、まさに病んでいる感じ。
まさに’60年代ブリティッシュ・サウンドですね。
9.Oily Water.
「工業油によって汚染された水」という意味でいいのだろうか?
サイケデリックな曲。
10.Miss.America.
この曲が最も病んでいるかな?もはや闇。
相当アメリカに嫌気がさしてたんだろうね。
11.Villa Rosie.
のちの方向性がかいま見える曲。
あらゆる方向性の芽が見えるし、音楽的な引き出しの多さ、何よりも技術的な確かさが確認できます。(あくまでアルバム全体の話。)
12.Coping.
パンクっぽいけど、独特のキーボードの音を入れているので、オリジナルで個性的な曲になっています。
Coping.(Andy Partridgr ver.)
Youtubeで偶然見つけました。最初このアルバムのプロデュースを担当したXTCのアンディ・パートリッジがプロデュースしたバージョン。
メンバーが作品の出来に納得いかなくて、アンディさんのヴァージョンはお蔵入りになったそうです。
13.Turn It Up.
言葉遊びに終始した感じの歌詞が、いかにも英国ポップ風。
この後にOasisとともに展開される「ブリット・ポップ」ともまた違う。
14.Resigned.~15.Commercial Break.
サイケデリックでカオスで、それでいてダルい感じのイメージが僕の中での「ブリット・ポップ」です。
この完成形がOasis.の”Champagne Supernova.”「シャンペーン・スーパーノヴァ」だと思います。
この曲のラストにくっついている”Commercial Break.”という短い曲というか音は、’60~’70年代ミュージシャンがよくやる隠しトラック(ボーナス・トラック)です。
これの使い方がうまいのがThe Beatles.ですね。
まとめ。Summary.

今回ご紹介した”Modern Life is Rubbish.”はBlurのファンで多くが名作としているのがよくわかる完成度の高いアルバムです。
またこのアルバムに先駆けて発表された”Popscene.”はアメリカ進出を視野に入れて作られた曲だと思うし、ブリティッシュ・パンクの影響も受けながら、当時の流行でもあるグランジ・ロックの独自解釈もあって良曲です。
この曲がアルバムに収録されなかったのは、アルバム全体のイメージに合わないという判断だと思います。(でも、日本版のアルバムには収録されています。)
のちに発表されアメリカでもヒットした彼らの代表曲”Song2.”にもあらゆる意味で繋がる、まさに”Song1.”だと思っています。
それと、この頃のBlur.のPVでよく見られるデーモンくんの変顔が個人的にツボですね。

こういうヤツ。
また、グランジロック的なサウンドを求めるレコード会社をデーモンくんは説得してこの作品を発表したわけですが、その説得の中で、「いずれ、英国的なサウンドのブームがまたくる」と言ったそう。その予言通りになったわけですが、自分たちがそのブームを引っ張るくらいの気概があったのかもしれません。(実際にそうなりました。)

大人しくしていれば、イケメンなんですが。
次の作品でBlurの快進撃が始まります。
それではここまで読んでくださって、ありがとうございました!
またすぐ、お会いしましょう!
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jacotosh
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