今回は、以前の記事「僕がすごいと思った本10選」で山崎豊子さんの「二つの祖国」をご紹介した時、子供の頃風邪を引いて寝ていた時、偶然ドラマ化されたものをテレビで見たという想い出を書きました。

実は同じような経験がもう一つあるのです。その想い出とともに、ついでに、テレビドラマや映画などを見たのがきっかけで原作を読んでハマった小説をご紹介しようと思います。

それでは、行ってみましょう!

「スティル・ライフ」池澤夏樹

今回の記事を書くきっかけになった本です。

僕が二十歳くらいの時、風邪をひいて家で薬を飲んで布団に横になっていました。薬の効き目で少し眠って、目が覚めた時、何気なくテレビをつけると放映されていたのがこのドラマでした。

体験した時の年齢は違うけど、「二つの祖国」のドラマ「山河燃ゆ」を観たときと全く同じで、デジャブを体験しているようでした。

そしてこのドラマも面白かった。TBSの単発ドラマで主演は南果歩さんと田中裕子さん。

大きな屋敷で一人暮らしをする南果歩さん。彼女が少しだけアルバイトしたクリーニング屋さんで知り合った田中裕子さんが引っ越してきて二人で共同生活を始める。という出だし。

ネタバレになるのでストーリーについて詳しくは書かないけど、この田中裕子さん演じる女性は若い女性なのに特定の住所に定住せず、いつでも気軽に引っ越せるように必要最小限の日用品をデイパック一つに詰め込んで、住所を転々としながら生活するという特殊な設定に、まず興味を惹かれました。(当時は今はやりのミニマリズムなんて考え方はなかった。大量消費のバブル経済期です。)

さらにこの女性は非常に優秀で、当時バブル経済の日本ではやった個人での株取引で利益を生み出してゆく。田中裕子さんの指示を受け、証券会社などで株売買の手続きをするのは、南果歩さんの役割。

ちょっとミステリアスな訳ありの過去がある田中裕子さん演じる女性の支持を受けて株取引で利益を上げながら、犯罪の片棒を担いでいるような後ろめたさとスリルを感じる南果歩さん演じる主人公。

そして次第にこの田中裕子さんの過去と、なぜ、このような生活をしているのかが明らかにされるというストーリーでした。

この、二重三重に物語に奥行きがあって、ここが最底辺だと思って安心していると、まだその奥があると言ったような、RPGみたいなスリルを味わいながら楽しく観れたドラマでした。それでいて、哲学的な教訓もあったりします。

印象に残っているシーンは、田中裕子さんが普通のOLとして働いていた時、お昼休憩に立ち寄った公園のベンチで鳩を眺めながら、突然悟りを開くように覚醒するシーンです。正直説明台詞が哲学的すぎて意味不明ですが、これをきっかけにガラッと田中裕子さん演じる女性の生き方が変わったのは確か。

こういう女性というか、こいう生き方に憧れを感じました。(でも犯罪だけど)

このドラマのタイトルを覚えて、翌日書店でこの本を探したのです。

小説の方は、もっと短い短編でした。主人公も女性2人ではなく男性2人でした。本書の方はドラマよりももっと哲学的だったけど、いうほど難解でもなく楽しく読めました。

ドラマは単発もので、ソフト化されていないそうなので、もう一度観ることは叶いそうにありません。なので、この本を愛読書にしています。

「避暑地の猫」宮本輝

これもだいぶ昔のドラマです。宮本輝さんが作家として注目されていて、「青が散る」などは連続ドラマ化されていました。

これも単発ドラマで、たまたま見たけど、でも、この時は風邪をひいてなかった。

主役は高橋良明くん。姉役は当時も今も全然知らない女優さん。主人公の母親役は高橋恵子さん。資産家の別荘の主人役は平幹二朗さん。

とにかく主題歌「赤い華」が印象的で、ドラマのCMがたくさんオン・エアーされていたので、気になって観ました。

ストーリーは大人になって、パチンコ屋に勤めながら事件の時効が来るのをじっと待ってひっそり暮らす主人公の回想という形で始まります。大人の主人公を演じるのは永島敏行さん。

主人公一家は、ある資産家(平幹二朗)が軽井沢に所有する別荘の管理人一家。

毎年夏になると別荘に移り住んで来る資産家の家族の使用人として生計を立てる家族。主人公の父親が卑屈で卑しいいかにもな小男。家族には優しい。

しかし、資産家の男の妻がなぜか使用人一家、特に妻やその娘(主人公の姉)を憎んでいて、使用人一家に何かと辛く当たる。そんな家族に辛く当たる資産家一家に主人公は次第に憎悪を募らせる。

主人公はやがて衝撃の事実を知る。なんと、主人公の母親は資産家の男の愛人で毎年夏に訪れる資産家に別荘の地下室で肉体で奉仕していた。しばらく時が過ぎ、娘が成長すると、今度は綺麗な娘(つまり主人公の姉)が資産家の相手をするようになる。

なんにも知らなかったのはまだ十代の主人公だけ。事実を知った主人公は資産家を問い詰めさらなる衝撃の事実を知る。

なんと主人公は資産家と愛人である母親の間に生まれた子供だった。事実を知った主人公は資産家を殺してしまう。それを見ていた、もはや血の繋がらない父親(使用人一家の主人)が主人公をかばって、別荘に火を放って事件を隠蔽し、主人公を逃す。

さらに、大人に成長した主人公が晴れて時効を迎えて、久々に幼少期を過ごした別荘を訪れる。そこには、綺麗な姉が大人に成長して待っていた。

姉はずっと主人公と血が繋がらないことを知っていたからこそ、弟ではなく男性として意識していたが、主人公は義理の姉と結ばれることを拒否して別荘を後にする。

ストーリーを全部説明したのは、この映像作品が今の所もう一度見るすべがなく、今後もdisc化、配信などの望みもなさそうなので。

実におどろおどろしい内容で、ドラマを見た時は少なからずショックでした。当時は宮本輝さんといえば「青が散る」のドラマで、大学生たちがテニスサークルで恋にスポーツに青春を謳歌している明るいイメージだったので。(「青が散る」をちゃんと見ていないのバレバレ)

そして、原作を購入して一気読みして、宮本輝さんのファンになりました。

ちなみに、主役を演じた高橋良明くんは当時人気急上昇の若手俳優でした。今後が期待されていたのに、無免許バイク運転での事故が原因で亡くなりました、当時16歳。

お姉さん役の女優さんも綺麗だったけど、このドラマが初見だったし、その後も見かけなくなりました。この記事を書くために調べて観たら、橘ゆかりさんという女優さんらしく、現在でもしっかり女優さんとして活躍しているようです。失礼なこと言ってごめんなさい。

「ガリレオ」短編シリーズ 東野圭吾

近年フジテレビで放映された大ヒットドラマなので、知ってる人も多いと思います。

主演福山雅治さん。福山さん演じる理系大学准教授湯川学が、頭脳明晰だけどクールで変人で、そしてとにかくカッコよかった。毎回事件を説く糸口を見つけると、所構わず数式を書きなぐるシーンがとにかくカッコよかったですね。

原作者の東野圭吾さんは、このちょっと前から読み始めたけど、原作となる「探偵ガリレオ」シリーズは読んでいませんでした。

ドラマを見てから原作の「探偵ガリレオ」を読みました。東野さんはその他の長編小説に傑作がいくつもあり、それらを読んでいた自分としては、この短編シリーズは何か物足りなかった。結局ドラマは主役を演じる福山さんや、原作以上に作り込まれた湯川学のキャラクターが魅力の大半を占めていることに気づきました。

でも、このシリーズは映画化も2度もされていて、そちらは映画も原作も傑作でした。

  • 「容疑者Xの献身」

こちらは東野圭吾さんによる「探偵ガリレオ」シリーズ初の長編小説。ドラマが大ヒットした影響もあったのか、発売されるや話題を呼び様々な文学賞を受賞。そして、ドラマと同じスタッフとキャスティングで映画化されました。

映画の方は、犯人石神哲哉役の堤真一さんの熱演が心に残りました。

  • 「真夏の方程式」

湯川学は、物語の舞台となる玻璃ヶ浦で行われるシンポジウムに客員として出席するため、現地へ向かう電車の中で少年柄崎恭平と出会う。この少年と湯川先生の交流が物語の軸になっています。ドラマ、原作のファンなら知っていると思いますが、湯川学は子供が苦手なはず。

玻璃ヶ浦では少年の親戚のおじいちゃん一家が経営する民宿に宿泊することになります。この民宿一家の秘められた過去が物語のテーマ。この民宿経営者一家の娘役が杏さんでした。

この2作とも、「愛するものを守るために犯罪を犯してしまう」という重いテーマで、原作も映画もどちらも傑作です。

「チーム・バチスタの栄光」シリーズ 海堂尊

こちらは連続ドラマ化され、海堂尊さんの医療ミステリーの「田口・白鳥コンビ」シリーズはドラマでもシリーズ化されました。

主人公の冴えない万年ヒラの神経科医田口公平は原作では40歳の中年だけど、ドラマでは伊藤淳史くんが演じています。若いけど、確かに田口先生のイメージに近い。ただドラマの役どころは原作と違って熱い性格。伊藤くんは涙に濡れながら熱い説教っぽいセリフを言って、相手を共感させる演技が得意ですよね。

もう一人の主人公と言える厚生労働省のエリート高級官僚白鳥圭輔は仲村トオルさん。頭脳明晰で、筋はしっかり通っている正論が誰彼構わず攻撃的な口調で問い詰めずにはいられない性格。しかし原作では白鳥は小太りとなっているけど、仲村さんは背が高くてスタイリッシュですよね。映像にするならやはりかっこいい方がいいですよね。

これはフジテレビでドラマ化の前にTBSが全く別系列で映画化していて、田口先生役は竹内結子さん。なんと女性です。白鳥役は阿部寛さん。

ドラマの後に映画があると知って見たんだけど、ドラマ版白鳥役の仲村さんの役作りって、映画の阿部寛さんそのまんまだね。高級スーツをビシッと着こなしてはいるけど、無精髭を生やしていたり、普段は低音でぶっきらぼうに話すところとか、もうちょっと独自な役作りできなかったのかなあ?

ドラマも映画も面白いけど、原作はもっと面白い。作者の海堂尊さんは現役の医師です。そのリアルな知識と、コミカルなテンポ感あるセリフと描写。

そして一貫してAi(オートプシー・イメージング)という技法を推奨している。僕は医学の知識が全くないので、このAiという技術がどれだけ有益で、本当に革新的なのか、原作発表時から時間が経った今ではもう古いのかなど、一切分かりません。

でも、作品自体は単純にエンターテイメントとして楽しめます。場所は地方だけど、大学病院という閉鎖された世界を、常識を持たない白鳥さんがはちゃめちゃに引っ掻き回す様は見ていて痛快です。

田口・白鳥コンビは、両方ともキャラは立っているけど、性格的には正反対の凸凹コンビのやりとりが、ただただ読んでいて楽しい。

「波のうえの魔術師」 石田衣良

ドラマのタイトルは「ビッグ・マネー!」TOKIOの長瀬智也くん主演。敵役のエリート銀行員山崎史彦役はネプチューンの原田泰造さん。主人公の白戸則道が相場師として、巨大銀行に立ち向かうというスケールの大きいストーリーです。

お笑い芸人さんは、劇場でのコントや漫才等での出演経験が豊富なので、演技力が備わっている人が多いのでよくドラマや映画にキャスティングされると聞いたことがあります。

このドラマは、キャスティングが結構すごい。主人公にデイトレードの世界を教える伝説の相場師小塚太平役に植木等さん。「スーダラ節」を歌っていた若い頃とは正反対の役所です。

そして総会屋の辰巳周二役を小日向文世さん。その部下蒔田役を松重豊さんと名バイプレイヤーが二人も揃っています。

ドラマは前半が、デイトレードの世界を主人公と一緒に視聴者が簡単に学んでいきます。毎回一つのデイトレード、株取引用語をテーマにストーリーが展開します。

しかし、後半に入っていきなり大銀行の悪事が浮き彫りになり、その大銀行の象徴的なエリート銀行員山崎との対決へと展開していきます。主人公は山崎を撃ち落とすのみならず、最後には銀行そのものまでも倒産に追い込む。主人公自身は関係ないけど、銀行の被害にあった主に老人たちの代理として戦う、いわば復讐ものです。

こういう弱者の味方に立って戦う勧善懲悪は、大抵スカッとするし理屈抜きで面白い。しかも、原作よりも映像作品の方が面白いね。

ただ、このドラマに限らずジャニーズが絡んでくると、まずこのドラマのネット配信は絶望的なので、disc-boxを買うか、レンタルで探すしかないのが現状です。二十年近く前の作品なので、再放送も期待できないでしょう。

それと、長瀬智也くん主演、原作石田衣良さんの組み合わせといえば、TBSの「池袋ウェスト・ゲート・パーク」が有名ですね。演出は「トリック」の堤幸彦さん。脚本はなんと宮藤官九郎さんのデビュー作です。

ただ、「池袋」の放送時は興味が持てなくて見ていませんでした。「ビッグ・マネー!」を見て石田衣良さんという作家の作品を読むようになり、「池袋」も何度目かの再放送で見ました。もちろん原作も。

「チョコレート工場の秘密」 ロアルド・ダール

最後はハリウッド映画から、「チャーリーとチョコレート工場」です。

ちょうどこの映画公開前後は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「スィー二ー・トッド」などを見てジョニー・デップさんのファンになり、彼の作品をよく劇場に観に行っていました。その中の一つが、この作品です。

監督はジョニー・デップさんと何度もタッグを組んでいるティム・バートン監督です。ジョニーさんの初主演作品「シザー・ハンズ」からの付き合いです。

ジョニー・デップ演じる工場長ウィリー・ウォンカのチョコレート工場内部を世界中から呼び出された5人の少年少女たちとその保護者を案内して回るわけだけど、サイケデリックな工場内部の景色はアニメーション技術とはいえ、映画ならではの世界観。小説では流石に表現しきれないですね。随所に登場する楽しい歌もそう。

出演する作品によって役作りをしっかりするので、ジョニーさんはいろんな役柄に対応できる、本物の俳優です。

でも、それ以上に褒めるべきはやっぱりティム・バートン監督かなあ?童話原作なので児童向けメッセージの強い物語を、大人も楽しめるように作り上げる手腕は大絶賛するしかないですね。

また、この作品を記事に書くためにAmazonレビューを読んだのですが、日本語吹き替えの声優さんにこだわる声がよく見かけられました。声優さんによって確かに声は変わるけど、「誰々じゃないと」みたいなこだわりは持ったことがないので、不思議な思いでした。

この辺は、今のアニメブームに合わせて声優さんも人気なことと、アニメオタクたちがやたら原作イメージに忠実かどうかにうるさいのと関係あるような気がします。

まとめ。Summary.

いかがだったでしょうか?今回は8作品ご紹介しましたが、僕自身が忘れているだけで、まだまだ映画やドラマを見てからハマった本はあるような気がします。

もし、たまに思い出して、それがオススメしたいと思うなら、その都度、記事にしてみようと思います。

それではここまで読んでくださって、ありがとうございました!

またすぐ、お会いしましょう!

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