僕が以前からチャンネル登録している、文学Youtuberベルリンの壁さん。

彼女は今時珍しく、電子書籍よりも紙派だそうです。

「本は電子書籍派か紙派か?」という問題に関しては、いずれ別の記事にまとめてみたいと思いますが、個人的な好みを言わせてもらえば、僕も紙派です。

そもそもこの件に関しては、僕が昔の人間だと言うだけなんですが。

ただ、彼女の紹介する本は、どうしても最近のベストセラー寄りみたいですね。

そこで、不朽の名作文学と呼ばれる作品は、やはりそれだけの価値があるということをお伝えしたいのですが、まずは、文学初心者の方に入門編として、「これを読むと、文学に興味を持てる」と思われる作品をいくつかご紹介しようと思います。

電子書籍でも紙でもいいので、この中のどれか一冊でも、手に取って読んでもらえると嬉しいです。

1 「本を積んだ小舟」宮本輝

「泥の河」、「螢川」などで有名な芥川賞作家、宮本輝さんの書評集です。

いきなり文学じゃなくてブックガイドですが、宮本輝さんが紹介する本にまつわる自身の思い出なども盛り込まれていて、エッセイとしても楽しめます。全編通して読めば、宮本輝さんの自伝を読んだような面白さがあります。

宮本輝さんの思い出に触発されて、紹介される本の中に、きっと読みたいと思う本が見つかるはずです。

2 「人生のヒント」デール・カーネギー

こういう書評を読むと必ず取り上げられる「自己啓発本」の定番です。

これも小説ではないけれど、様々な分野の有名人の伝記を1人分5分程度で読めるようにまとめた教訓集になっています。

下手な自己啓発本に手を出すくらいなら、まずこの本を読んでみるといいと思います。

日本人など比較にならないくらい、アメリカ人はサクセスストーリーが大好きですね。

3 「ライ麦畑で捕まえて」J・D・サリンジャー

文句なしの大ベストセラーですね。しかし、過去、一切映像化されてないので、知名度はそんなにないかも?

主人公の無意味な反抗的行動に我慢して付き合って読み進めれば、ラストに大きな感動が待っています。

映画でも、こういう手法で描かれる作品、よく観ます。

4 「フラニーとゾーイー」J・D・サリンジャー

またしてもサリンジャーです。

「ライ麦畑」みたいな感動的なラストはないけれど、それよりも大きな教訓が込められています。

個人的には「ライ麦畑」よりもこっちの方が好きですね。

サリンジャーだけでなく、この時代の欧米文学の作家は、東洋思想の影響が感じられます。

5 「ガラスの動物園」テネシー・ウィリアムズ

舞台の脚本です。大変評判が良い作品で、日本でも何度も舞台化されています。

僕も、かなり昔、渋谷の東急文化村で上演された舞台を観に行きました。(その時の主役「ローラ」役は南果歩さんでした。)僕の場合、先に本を読んで、それから舞台に興味を持ちました。

脚本と言っても文学的価値が高く、作者のテネシー・ウィリアムズさんは、劇作家ですが、もはや文豪に位置付けられています。

テネシー・ウィリアムズさんの作品では、「欲望という名の電車」が最も有名だと思うのですが、より、わかりやすく、読みやすいと思う方を選びました。

日本では、「欲望」よりも、「ガラスの動物園」の方が人気が高いような気がします。

どちらの作品も、繊細な性格の女性が主人公です。

6 「雨・赤毛」サマセット・モーム

サマセット・モームさんは、個人的に大好きな作家です。

この短編集収録の表題作「雨」だけでも、読む価値、というか本を買う価値ありだと思います。

ラストのどんでん返しという意味では、「ライ麦畑」以上です。エンターテイメントとしても超傑作の部類だと思います。

本でも、音楽でも、最近は内容に込められたメッセージばかり注目されるようだけど、単純にエンターテイメント性だけで評することってできないのでしょうか?

物語の語り口、最後のどんでん返しのオチ、見事な構成、それでいて短編作品として短くうまくまとまっている。プロの作家の力量は、こういうところに表れると思います。

その本から受け取るメッセージとは、読者側が読んだ後に、どう解釈するかによるところも大きいと思います。

ただ、作者の他の作品を読んで感じるのは。「大いなる女性不信(コンプレックス)」だということ。プライベートでよほど女性に嫌な目にあったのでしょうか?

7 「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー

ミステリーの女王、アガサ・クリスティーさんの個人的に最高傑作だと思っている作品。彼女のストーリーテリングの技術は圧巻です。

日本でも、何度も映像化されていますね。

ただ、ミステリーは最後の謎解きが分かっていると、面白みが八割がた薄れてしまうので、映像は見たことがない、もしくは、作者もタイトルも聞いたことがないという人には超オススメです。

読んでいて、ただただ楽しめます。

僕も、小学生の時に、アガサ・クリスティーさんの、「アクロイド殺し」を読んでいる途中で友達にネタばらしされ、それ以来、その友達とは仲悪くなりました。

8 「楢山節考」深沢七郎

最初に紹介した、「本を積んだ小舟」でも紹介されている本です。

棄老伝説(いわゆる姥捨山伝説)という深すぎるテーマを扱っていますが、その点に関する作者の考察や感情が一切挟まれていません。それゆえに、読者にとことん考えさせます。

こういった風習について、作者は取材はしたのだろうけれど、その取材をもとに描いたノンフィクションではなく、ほぼ、作者の創作によるフィクションだそうです。

風景描写、情景描写、セリフだけで淡々と物語が進んでいきます。

しかも、これが、深沢七郎さんのデビュー作だというので、更に驚きですね。

この作品が発表された時、三島由紀夫さんも絶賛したそうです。

映画化もされ、カンヌ映画祭でグランプリを受賞しました。きっと海外の人たちもこの作品で描かれている、「日本の一部地域社会の風習」には衝撃を受けたことでしょう。

僕の書評よりも、宮本輝さんの書評を読むと、俄然、興味が湧くと思います。

9 短編集恐怖の四季春夏編「ゴールデン・ボーイ」、秋冬編「スタンド・バイ・ミー」スティーヴン・キング

変則的に2冊同時にご紹介します。

スティーヴン・キングさんの作品は、たくさん映画化されているし、有名な作品も多いので、知名度は高いですよね。

実は、最近の作品は、どんどん長くなっていくし、読んでみると難解だったりしますが、ストーリー自体は面白いものが多いです。

短編だったら負担も少なく読めると思い、この2冊のシリーズ短編集を選びました。2冊合わせて「恐怖の四季』と題された、キングさんの短編集です。

面白いのは、すでに発表されていた短編作品を出版社が選んだのではなく、キングさん自ら企画を立案し、そのために4つの短編を書き下ろしたことです。

「ゴールデン・ボーイ」は、恐怖の四季の春夏編です。表題作と、「刑務所のリタ・ヘイワース」収録。両方とも映画化されています。特に、「リタ・ヘイワース」は、「ショーシャンクの空に」という名作映画の原作なので、読む価値があります。もちろん、読み応えも保証します。

「スタンド・バイ・ミー」は、恐怖の四季の秋冬編。表題作のほか、「ニューヨーク奇譚倶楽部」収録。「ニューヨーク」だけ映画化されていません。表題作はもう説明不要だと思います。

映画は特に「スタンド・バイ・ミー」、「ショーシャンク」がともに人気の高い作品なので、特に映画好きな人にとって、親しみやすいと思って紹介しました。

キングさんは、スプラッターや、後からじわじわくるようなホラーばっかり書いている作家ではないんですね。

10 「こころ」夏目漱石

最後は日本を代表する文豪、夏目漱石さんをご紹介したいと思います。

「文豪」というと難しいというイメージを持っている人が多いと思いますが、夏目漱石さんに限っては、完全な食わず嫌いです。

有名な「坊ちゃん」、「吾輩は猫である」あたりも面白いし、読みやすいですが、「こころ」には、感動と深く考えさせられる要素も詰まっていて、エンターテイメント性も高い名作です。

僕が学生の時にたまたま聞いていたFMラジオでこの作品の朗読だったか、ドラマだったかが放送されていて、何気なく聞いているうちにぐっと引き込まれていました。

映画やテレビもない時代は、まさに小説がエンターテイメントの花形だったのがわかると思います。

まとめ。Summary.

今回は僕がオススメしたい文学入門書ということで、本当の文学ガイドから小説まで、なるべく、「読みやすい」をテーマに選んでみました。

また、様々なテーマで今後もオススメ本の紹介をしていきたいと思います。

最近は、「ビジネス書」というジャンルに区切られた本が多く売れる傾向にあるみたいですね。

最近の読者は、人生において役に立つ、より実践的で直接的なアドバイスを求めているのかもしれません。

でも、こうした読みやすく楽しく、そして教養を深められるような本を、人生の箸休めに手に取ってみるのもいいのではないでしょうか?

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!

また、お会いしましょう!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう