今回で、僕がすごいと思った本シリーズもラスト。ついに完結です!

(もっとも、そんな大げさな記事ではありませんが……。)

今回は一気に4冊をご紹介します。それでは、行きましょう!

7 「ジョニーは戦場へ行った」ドルトン・トランボ

この本が衝撃度では、最大かもしれません。

全編通して、主人公「ジョー」の意識の流れのみで描かれます。ジョーは最初、自分が今、どういう状態なのかも把握していません。

ジョーと一緒に周囲の感覚にすこしづつ気づいていき、彼の記憶を手繰り、徐々に状況が明るみになっていきます。この一人称での意識の描き方が見事です。

そうジョーは、第一次世界大戦に召集されて、戦地で砲弾を受け、火炎放射器で焼かれ、目、鼻、口、耳を削がれ、両腕と両足を切断され、ただの焼けただれた肉の塊として、ある病院のベッドに横たわっていることに気づくのです。ここまでは、前半にすぎません。

後半では、さらに悲劇というには恐ろしすぎる現実に直面します。

自分の看病をする、医者や看護師たちが自分を「意思もなくただ生きているだけの肉の塊」として認識していて、ジョーが必死に首を動かして意思があることを伝えようとしても、病院関係者たちは、ただの筋肉の痙攣と判断して、鎮静剤を打つのみです。

誰にも気づいてもらえないことほど恐ろしいことはないですよね。

でも、ある一人の新しい看護師が、とうとうジョーに意識があるらしことに気づきます。この、ジョーと看護師とのやりとりに、ぜひ気づいてほしいと、主人公とともに祈るよな気持ちで、生きた心地がしないほど切実な思いになりました。

ラストは、ぜひ、本書を読んで確かめていただきたいです。

過去に、反戦小説として国家から何度も発禁された本です。

8 「黒猫・黄金虫」エドガー・アラン・ポー。(新潮文庫)

エドガー・アラン・ポーさんは、個人的に大好きな作家です。

近現代推理小説、SF小説のパイオニアと言っていいでしょう。その代わり、現役で執筆していた当時は、作家や評論家からかなり異端視されて、なかなか正当な評価をされなかったそうです。

ポーさんの作品は数多いのですが、そのほとんどが短編なので、ミステリー的要素の高い、「黄金虫」などは、学校の夏休みの課題図書などにも指定されます。

ただし、ポーさんの作風や文体としては、かなり様式的な、悪く言えば古臭い文体なので、短編でも、苦手という人はいますね。さらに、僕が若い時に購入したこちらの文庫本は、訳も古くて、さらに読みづらくなってます。(今は、新訳で改訂されたらしい?)

それでも、この新潮文庫版をオススメするのは、収録されているのが、

  • 「黒猫」
  • 「アッシャー家の崩壊」
  • 「ウィリアム・ウィルスン」
  • 「メールストロームの旋渦」
  • 「黄金虫」

と、どれもおすすめできる作品ばかりだからです。

有名な「黒猫」は、妻を殺し、ペットである黒猫も殺して地下室のレンガの壁に死体を埋め込み隠蔽を図るが、最後に意外な落とし穴が待っています。

個人的な思い出としては、中学の時に夏休みの宿題である、読書感想文として「ウィリアム・ウィルスン」を提出したら、担任の先生に褒められ、先生もポーが好きだということ、そして、読書の趣味が似ていることが判明して嬉しかったことを覚えています。

9 「地球幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク

僕はSF作品が好きなので、SFの傑作の中から、本書を紹介します。

アーサー・C・クラークさんの名前は知らなくても、キューブリック監督の傑作映画「2001年宇宙の旅」の原作者といえば、ピンと来る人もいるかもしれません。

「2001年」は、映画史に残る名作なので、いずれ一つの記事に特集してまとめてみたいと思っています。

そんなクラークさんの最高傑作の呼び声高いのが、本書です。

今は、「幼年期の終わり」というタイトルになっているみたいですね。

王道のSF作品らしい、未来と宇宙が本書の舞台。もう、これだけで、十分なスケールの大きさですよね。

ストーリーを詳しく語るのはやめます。冒頭部分をちょっとだけ。

ある日突然、地球上の世界各国の主要都市の上空に、超巨大な宇宙飛行物体が停止して、下界を見下ろすかのような威圧感で存在し続けます。彼らは、宇宙の彼方の知的文明圏からやってきた。そして、人々の意識に直接語りかけ、これから、我々が地球を統治すると宣言します。

かといって、一方的な暴力的支配などはしません。国際連合の代表者を窓口として、あくまで平和裡に交渉を進めます。人々は、突如現れたこの宇宙人を「オーバーロード」と呼びます。

冒頭部の紹介だけで、このスケール感。物語が進むにつれて、スケールはさらに大きくなっていきます。最終的に人類はどうなってしまうのでしょうか?

もはやSFの枠を超えて、人類の向かう先、地球上の生物の進むべき進化の先を予見する傑作です。今現在読んでも、その科学的根拠は、色あせていません。

10 「人間の絆」サマセット・モーム

大好きな作家、サマセット・モームさんの自伝的長編小説です。

こういう大河小説って、長くても、安定した作家の力量があれば、その語り口のうまさで、ぐいぐい引き込まれていくので、最初抵抗あっても、結構読めたりしますね。ましてや、作者自体の自伝的要素が色濃いわけですから。

冒頭から、まだ幼い主人公の母親が病で亡くなる場面から始まります。いきなり引き込まれるし、これからの主人公の前途多難な将来を思い描いてしまいます。

また、病床にありながら、自分の死への恐怖よりも、残される息子を「かわいそうに……」と気遣う母親に感動します。

その後、主人公は様々な人物と関わっていきます。

有名な登場人物は、全編通して登場して、主人公フィリップを翻弄するミルドレッド。モームさんの他の作品にもこういう悪女は登場するので、悪女はもう食傷気味です。

ちなみにこの作品は1934年に映画化されています。日本語タイトルは「痴人の愛」ですが、谷崎潤一郎の小説とは一切関係ありません。また主役はミルドレッド(演じるのはベティ・ディヴィス)で完全にミルドレッドの悪女ぶりに焦点を当てた作品です。

それと、大ヒット映画「セブン」も、全編名作英米文学からの引用が見られますが、モーガン・フリーマン演じる老刑事がモームさんの「人間の絆」を「名作だ。読んだ方がいい」とオススメするシーンがあります。ちなみに、老刑事の名前は「サマセット刑事」でしたね。

原題は”of human bondage”.直訳すると「人間の束縛」かな?絆とはニュアンスが違いますよね。

本日のまとめ。(Summary.)

当然ですが、今回ご紹介した本は全て僕の愛読書です。

くどいまとめを書くつもりもありません。

「この中から選んで読んでみたら、面白かった」そう言ってくれる人がいたら、それだけで嬉しいです。

やや戦争ものが多いような気もしますが。全て自信を持ってオススメできます!

ここまで読んでくださってありがとうございました。

それでは、また会いましょう!

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