今回は、「初心者にオススメしたい!」ではなく、本当に僕個人が読んだときに衝撃を受けた、すごいと思う本10冊をセレクトしてご紹介したいと思います。

当然、個人的な思い入れが強い本ばかりなので、コメントも長くなると思います。なので、前中後編3部に分けて記事にしたいと思います。

1 『白鯨」ハーマン・メルヴィル

文句なしのエンターテイメント小説の傑作です。

ストーリーは単純。伝説のマッコウクジラ「モビー・ディック」と、以前ディックに挑んで無残にも片足を失った、「エイハブ船長」

エイハブ船長が復讐を果たすため、再びモビー・ディックにリベンジを挑む。たったそれだけの内容。

でも、これだけの説明で実際に本を読むと、面食らうかもしれないですね。何しろ、この時代(19世紀)の捕鯨および、捕鯨船、そして鯨そのものについての百科事典のような知識解説が延々と続きます。

メルヴィルさんは、相当なクジラオタクだとしか思えません。そうでなければ、これだけの知識量を調査したりできないでしょう。

しかし、そういった解説の合間に挟むようにしてストーリーが展開していき、その度に引き込まれてやめられず最後まで読んでしまいます。

登場人物のキャラクターもすべて魅力的だし、会話のセンスもすごくいいです。

それと、復讐劇ということでドロドロな暗さをイメージした方も多いでしょうが、全体のトーンはむしろ明るいです。

そして、ラストのモビー・ディックとエイハブ船長の対決がクライマックス。その結末が秀逸なので、ドラマとして超一流です!

どれだけドラマ性が高いかは、大昔に映画化されたことがあると言うのをみてもわかると思います。

この小説の思い出としては、大学時代に友人にこの本の話をしたところ、「(足を失ったのは)自分が悪いのになんで、復習するんだ?」

どんなに説明しても、その点にずっとこだわっていて、この本の魅力を理解してもらうことができなかった。

動物愛護精神が生まれたと同時に心に宿っている人は多いし、それは結構だが、固定概念にとらわれすぎていて、それから一歩も動くこともできず、その上、そういう状態にいるという自覚が全くない人間というのが、世の中には意外と多いんです。

しかも、生まれた時から動物愛護家なら、凝り固まったその概念が全く柔軟になっていない。つまり、成長していないとも言えますよね?

要するに話が通じず、こちらの話を理解できずに、全く噛み合わない自己主張ばかりを押し付けてくる人たちですね。

2 「冷血」トルーマン・カポーティ

「ティファニーで朝食を」で知られるトルーマン・カポーティーさんの衝撃の問題作です。

1959年にアメリカで実際に起きた一家惨殺事件を徹底的に取材して書いたノンフィクション・ノベルです。この本に書かれていることに関して、創作は一切ないと、作者自身が言っています。

しかし、よくある、実際の事件を描いたルポルタージュではなく、ちゃんと小説形式で書かれているので、文学作品としても価値が高いのです。

しかも、オードリー・ヘップバーンが主演した映画「ティファニーで朝食を」で、奔放に生きる女性を描き、のちに、「冷血」を発表する。この振り幅の大きさが、個人的に好きです。

優れた作家は、表現方式がときに詩の一片のようになるときがあります。本書にも随所に現れていて、それらがまるで聖書からの引用のように美しくて奥深い。文学少年少女が、詩人を気取って時々書いてしまうポエムとは明らかに違います。こういうところに才能とかセンスって現れるんですね。

また、作者が事件を取材するときに、捕まった犯人に留置所で面会して取材をする際、メモなどは一切取らなかったといいます。もちろん、ボイス・レコーダーなんてない時代です。すべて、作者は頭の中に記憶していたそうです。

もちろん、取材まとめ用のメモはあって、6,000ページにも及ぶそうです。それらを小説形式に圧縮したというのに、結構な長編ですよね。ここら辺が、作者の力量です。

実際に起きた事件ならば、感情を一切廃したルポ形式で読みたいと思うかもしれませんが、ならば、ご自身で調べるべきだということを、作者に教わりました。

3 「アウトサイダー」コリン・ウィルソン

若きイギリスの労働階級(というかホームレス)作家のコリン・ウィルソンさんのデビュー作にして問題作です。

アウトサイダーとは、「社会の枠に収まらない人」。もっと平たく言えば、「社会不適合者」。

世の中には、生まれながらにしての「アウトサイダー」が一定数存在するという本書。膨大な古今東西の文学、哲学書などからの引用で成り立っています。

本書内で実例として紹介される人物も、著名な芸術家や文人たち。時には、小説の中の人物だったりもします。

これを、実例を基に取材したと捉えるか、それとも、超がつくほどの読書家の描く空想に過ぎないのか?という疑問は不要です。これだけの膨大な本を読めば、ちゃんと実際に即した仮説を構築できるのだと気付かされます。

本というのは、単なる無益な時間つぶしではないんですね。

この本のタイトルを言うとよく、80年代のコッポラ監督作品の同名映画と思われるのですが、全くの別物ですのでご注意を。

そして、コリン・ウィルソンさんが本書を書き上げた時のエピソードが面白いです。

彼は、今はやりのミニマリズムの極地のようなホームレス状態で、公園や道端にテントを張って寝泊まりするという生活の中、足しげく大英図書館に通って、そこにある膨大な蔵書にどっぷりと浸かりながら、本書を書き上げたのです。

要するに本が読みたくて働くのをやめたのです。そしてのちに自身で本書を書き上げました。

まさに、社会不適合者!しかしそうまでしないとこの素晴らしい本は生まれなかったということです。

今回の記事は、3部に分ける予定なので、ここでのまとめはなしにします。次回、続編・完結編を投稿する予定です。

それでは、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

また、すぐにお会いしましょう!

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